聖書の書かれた目的

漢字の向こうに聖書が見える:2024年1月

ブラッシュ木綿子(著者)-  2024年 01月 01日 - 

選りすぐりのもので伝える
目的、用途、“永遠のいのち”

今月の漢字は「書」です。上の部分は手に筆を持っている形、下の横長の「日」の部分は紙とそこに書かれた文字の形です。上下合わせて「かく・かいたもの」の意味になります。下に「日」を付ける代わりに、上に竹冠を付ければ「筆」ですね。筆の軸には昔から竹が使われたからです。漢字は本当にビジュアルかつロジカルで素晴らしいですね!

日本には「書き初め」という習慣があります。一年の抱負や計画、おめでたい言葉を書いて、目標の成就や新年を祝う意味があるそうです。娘は去年、小学校最後の書き初めで「希望の歌声」と書いていました。中学に上がると書写の機会も減りますが、今年、もし皆さんが書き初めをするとしたら、どのような言葉を選ぶでしょうか。

さて、イエスの弟子が書いた福音書に、『ヨハネの福音書』があります。福音書の最後でヨハネは、イエスは数多くの奇跡をおこなったが、自分はそのすべてをここに書かなかった」と言っています。ヨハネはいわば()りすぐりのものだけを記したことになりますが、「これらのことが書かれたのは、イエスが神の子キリストであることを、あなたがたが信じるためであり、また信じて、イエスの名によっていのちを得るためである」と説明しています(ヨハネ20:31)。

漢字の向こうに聖書が見える:書
これらのことが書かれたのは、イエスが神の子キリストであることを、あなたがたが信じるためであり、また信じて、イエスの名によっていのちを得るためである。(ヨハネ20:31)

ヨハネの福音書だけでなく、聖書全体がまさにこの「目的」で書かれました。すなわち、読者がイエスを知り、信じて、いのちを得るという目的です。私たちは普通、何か知らない物を手にしたら、「これは何のためのものか」と、その目的を知ろうとすると思います。目的がわからなければまったく役に立たない物もありますし、誤って使用すると危険な物もあります。本も同じで、書かれた目的を知らなければ、役に立たないことも危険なこともあるのです。イエスは生前、ユダヤ人に対してこのように言いました。「あなたがたは、聖書の中に永遠のいのちがあると思って、聖書を調べています。その聖書は、わたしについて証ししているものです。それなのに、あなたがたは、いのちを得るためにわたしのもとに来ようとはしません」(ヨハネ5:39-40)。多くのユダヤ人が、イエスが目の前にいたにもかかわらず、聖書の証しするイエスを知ることができませんでした。

この連載で何度か登場しているパウロはどうでしょうか。彼は聖書の専門家でしたが、彼もまた、聖書の書かれた目的を心得ていなかったため、復活したイエスに出会って回心するまで、教会を迫害する危険人物でした。パウロ自身、「私は以前には、神を冒瀆(ぼうとく)する者、迫害する者、暴力をふるう者でした」と言っています(Iテモテ1:13)。回心後、キリスト教の宣教師となったパウロは、今月のことばを言い換えたような文章を残しています。「聖書はあなたに知恵を与えて、キリスト・イエスに対する信仰による救いを受けさせることができます」(IIテモテ3:15)。

皆さんも今年、もし聖書を読まれるなら、是非ともこの「聖書が書かれた目的」を心に留め、目的から離れてしまうことなく読み進めてくださいますように。


「漢字の向こうに聖書が見える」のシリーズは、福音歌手森祐理さんのラジオ番組「モリユリのこころのメロディ」で取り上げられました。祐理さんは、CBI Pressから昨年出版されたデボーションガイド、『365日の恵み浴』を使っています。皆さんも、主の恵みを浴びて一日を始めてみませんか?

聖書 新改訳2017©新日本聖書刊行会

この記事は『クリスチャン新聞福音版』2024年1月号(No. 568)より、許可を得て転載しています。