子育ての現実
キャシーとジャックは子育ての真っただ中です。中学生2人と高校生1人を抱え、彼らの生活は完全に子どもの予定を中心に回っていました。キャシーとジャックは2人とも子どもたちの活動に合わせて生活リズムを調整し、スポーツや演劇、4Hクラブ(訳註: アメリカなどで展開されている、農業、科学、健康、リーダーシップなどに関する実践的スキルを学ぶことのできる青少年向けプログラム)の集会へと動き回っていました。庭にはサッカーボールが散らばり、家の中では4Hの作品が、親なら理解できるであろう状態で、室内装飾と化しています。このような光景は、あなたにも馴染みあるものかもしれません。
『自分への攻撃として受け取らなくなることで、あなたは防衛的にならなくて済み、子どものことをより深く理解したい、彼らの心の悩みを知っていきたいと、思いが開かれていきます。』
多忙な子どもたちを育てる中で、キャシーとジャックは親として新たな困難に直面していました。 子育ては簡単なことではないというのは親なら誰でも知っていることですが、子どもが成長し思春期に近づくにつれ、試練は違ったものとなっていきます。かつてはお父さん、お母さんの指示を規範として受け入れ、基本的には従順であった子どもたちが、今では自らの意見を述べ、何かを行うときには別の選択肢も考慮するようになり、時には親の指示や計画に反論さえするようになったのです。その結果、キャシーとジャックは子どもたちとのコミュニケーションに関して苛立ちを覚えるようになりました。あなたも似た状況に直面したことがあるかもしれません。
よくある葛藤
成長するにつれ、子どもは自らの行動に対してより責任を持ち、自立するようになっていきます。これは自然な変化であり、子どもが自ら物事に対処して賢明な判断をできるようになったと知り、親としてほっとすることもあるかもしれません。しかし、この自立していく過程において、子どもはあなたの方法ではなく自分の方法を選びたがることがあります。「これまで通りのやり方」に疑問を呈し始めます。親としては、子どもが自分の指導や子育て方針に沿った行動や応答、選択をしてくれることを期待するでしょう。しかし、そうならない場合に葛藤を覚えるのです。まさにこれが、キャシーとジャックが体験していた難しさであり、カウンセリングを受けたいと思うきっかけとなった出来事でした。彼らは、子どもたちから時折来る予想外の反発に苛立ちを感じていたのです。そこで私がキャシーとジャックに伝えたのは、とてもシンプルなひと言でした。
「自分が攻撃されていると思わないで(Don’t take it personally)」
このシンプルな言葉は、私自身が子育てをした際に助けとなりました。子育てのすべての衝突を網羅する万能の解決策、というわけではありませんが、思春期前や思春期の段階にある子どもを育てているすべての親が、より頻繁に意識すべきことだと思います。この言葉の意味と、それが子どもとの関わりにどう役立つかを考えてみましょう。
『我が子を主にお委ねする心を持ち、主はあなたの愛の労苦を見ておられるのだということを覚えてください。主はあなたにもまさってあなたの子の幸いのために尽くしておられます。』
考え方の転換
この段階の子育てにおいては、衝突が自分と子どもの間に起きている、と感じやすいものです。実際、ここで私たちが扱っているほとんどのコミュニケーションはあなたとお子さんとの間のやり取りであるため、そのように思われるのは自然なことです。しかし、子育てで起こっていることを自らに対する攻撃として見るのではなく、代わりに、チャンスと捉えてみるのはどうでしょうか?子どもとの関わりでどれだけ苛立ちや失望を感じるときでも、それは我が子をより深く知る機会であり、彼らが人生をどう考えているのかを理解し、その心に耳を傾けるチャンスです。 彼らとの関わりを通して目にし、耳にすることが親として気に入らないこともあるでしょう。しかし、そんなときにこそ、「自分が攻撃されていると思わないで」の言葉をしっかりと覚える必要があるのです。
親が子どもとのすれ違いの捉え方を変え、自分個人への攻撃として考えないようになるならば、より良い関わりを持っていくための扉が開かれます。それは子どもをより深く知る機会となります。また、あなたが子どもと関わる中でイエスの似姿を表すチャンスとなるのです。 イエスが人々と関わられた中で、ご自身への攻撃と捉える十分な理由があった多くのやり取りを思い浮かべてみてください。しかし主はむしろ、その人々と対話することを選ばれました。(イエスが十二弟子たちと対話しているいくつもの聖書箇所をご覧ください。子育ての素晴らしい模範です。)自分への攻撃として受け取らなくなることで、あなたは防衛的にならなくて済み、子どものことをより深く理解したい、彼らの心の悩みを知っていきたいと、思いが開かれていきます。この姿勢に至ってこそ、子どもたちと向き合う準備が整ったと言えます。感情的な反応を避けることができれば、一歩身を引いたところから、どのように親として彼らと関わっていけばよいのか、真の問題は何なのか、またそれらにどう対処すべきなのか、といったことについてより良い視点を得ることができます。ここで初めて、その状況についてあなたの考えを伝え、子どもの内面的な課題に向き合うことができるのです。
お母さん、お父さんへの具体的アドバイス
思春期前や思春期の段階にある子どもとの衝突を親は自分への攻撃と捉えて反応してしまいやすいものです。キャシーとジャックのような親である方々との会話から、このことに関して、母親と父親はそれぞれ特有の難しさを覚えやすいということがわかってきました。そこで、「梁とちり」のたとえ話(マタイ7:5)に倣い、母親と父親が自らの心を省み、感情的な反応を避けられるようになるために、よくある落とし穴をいくつかご紹介します。
『イエスが「仕える者」として導かれたことを思い出してください。主は尊敬されることを要求して当然のお方であったにもかかわらず、謙遜さの模範を示す道を選ばれたのです。』
母親は、自分の努力が認められていない、あるいは子育てが上手くいくことを子ども自身が妨げている、と感じるとき、攻撃されていると感じて感情的に反応してしまいがちです。お母さん、あなたの働きは主のための働きです(Iコリント15:58)。 子どもの成功や失敗をコントロールできていることに承認や慰めを得ようとする落とし穴を避けましょう。我が子を主にお委ねする心を持ち、主はあなたの愛の労苦を見ておられるのだということを覚えてください。主はあなたにもまさってあなたの子の幸いのために尽くしておられます。主のうちに安らぎましょう。
父親にとって、「攻撃された」と感情的になりやすいのは、子どもの態度を自らの権威や尊敬に対する脅威として誤って捉えてしまう場合です。お父さん、これがあなたの輝くときです。このようなときにこそ、私たちの天の父がどれほど恵みに富み忍耐深い方であられるのかを、あなたの姿を通して我が子に表すことができます。イエスが「仕える者」として導かれたことを思い出してください。主は尊敬されることを要求して当然のお方であったにもかかわらず、謙遜さの模範を示す道を選ばれたのです(ピリピ2:5-7)。
ですから、親である皆さん、成長しつつあるお子さんたちと向き合う際、次から今回ご紹介した言葉を意識してみてください。繰り返しますが、子育てのあらゆる場面に通用する方法ではありません。しかし、もっと頻繁に意識されてよい考え方です。そうすることであなたはイエスと一つ思いとなり、目の前の状況は神によって定められた成長のための機会なのだ、と知ることができるのです。
振り返りのための質問
「自分が攻撃されていると思わないで」の言葉によって、あなたが今後子どもとの衝突を経験する際の対応はどのように変わるでしょうか?あなた自身の心の中で、感情的な反応を避け、衝突をチャンスと捉えることを難しくしているものは何でしょうか?
This article has been translated and used with permission from the Biblical Counseling Coalition. The original can be read here, Four Helpful Words for Parents.
この記事は「Biblical Counseling Coalition」から許可を得て、英語の原文を翻訳したものです。原文はこちらからご覧いただけます:Four Helpful Words for Parents。