今月の漢字は「天」です。成り立ちからすると、「大」、「天」、「立」、「夫」、「太」、「央」は全部同じグループです。「大」は、人が大きく手と足を広げて立っている姿の象形です。よく子どもが両手を広げて、「こーんなに大きいの!」と言いますよね。まさにあんな感じです。この人の頭の上に、更に大きく広がる空を書くと「天」になり、逆に、足の下に地面を書くと「立」になります。また、この人の頭にかんざしをさすと、大人になった印としてかんざしをつけた男性、つまり一人前の男を意味する「夫」になります。また、二つ文字を重ねるとき、『学問のすゝめ』のように、二つ目の字を点(ゝ)で表しますが、「太」は「大」を二つ重ねた形で、「太い」や「とても」の意味になりました。最後に、神社や寺を表す敷地(﹇)をまず書いておいて、その真ん中に人を立たせると中央を表す「央」の字になります。面白いですよね。今のカリキュラムでは、「大」と「天」と「立」は小学一年、「太」は二年、「央」は三年、「夫」は四年で習うことになっていますが、同じグループの字を全部まとめて教えたら、漢字の学習がもっと楽しくなるのではないかと思うのは、私だけでしょうか。
さて、満天の星を見上げると、今月のデザインのように自然と手が広がり、その雄大さを全身で受けとめたくなりますよね。太古の昔から、人は天を見上げてきました。この素晴らしい宇宙が偶然の産物とは思われず、背後にある知性に思いをはせた人もいました。聖書は冒頭から「はじめに神が天と地を創造された」と言っていますので、聖書に登場する信仰者は、当然ながら天を見上げて創造主を思いました。古代イスラエルの王であったダビデもその一人です。彼は神を「あなた」と呼んで、こんな詩を残しています。
天は神の栄光を語り告げ / 大空は御手のわざを告げ知らせる。(詩篇19:1)
あなたの指のわざである あなたの天
(詩篇8:3-4)
あなたが整えられた月や星を見るに
人とは何ものなのでしょう。
あなたが心に留められるとは。
人の子とはいったい何ものなのでしょう。
あなたが顧みてくださるとは。
自分はこんなに小さく、取るに足りない者なのに、偉大な神が心にかけてくださる。天を見上げて、ダビデは不思議に思わずにはいられなかったのです。
私たちも、自然を前にして自分の小ささを思わされることがあります。日本人はそのまま自然をあがめることが多いのですが、聖書は、自然の素晴らしさはそれを造られた神の栄光を指し示すものだと教えています。「天は神の栄光を語り告げ 大空は御手のわざを告げ知らせる」のですね。自然の大きさに圧倒されたときには、体を大の字にして天を見上げ、その自然を造られた方のことを、また、その方が人間を愛しておられることの不思議を、考えてみてください。
「漢字の向こうに聖書が見える」のシリーズは、福音歌手森祐理さんのラジオ番組「モリユリのこころのメロディ」で取り上げられました。祐理さんは、CBI Pressから昨年出版されたデボーションガイド、『365日の恵み浴』を使っています。皆さんも、主の恵みを浴びて一日を始めてみませんか?