神の最も成功した敗北

12月16日 第351日

ジョン・パイパー(著者)、楠 望(翻訳)-  2023年 12月 16日 - 

それゆえ神は、この方を高く上げて、
すべての名にまさる名を与えられました。
それは、イエスの名によって、
天にあるもの、地にあるもの、
地の下にあるもののすべてが膝をかがめ、
すべての舌が
「イエス・キリストは主です」と告白して、
父なる神に栄光を帰するためです。

(ピリピ人への手紙2:9-11)

クリスマスは、神の最も成功した敗北の始まりでした。一見「負け」に見える状況を通して、神はいつでもご自身の力を現すことを喜ばれます。戦略的な勝利を勝ち取るために、戦術的後退をするのです。

旧約聖書に登場する、ヤコブの12人の息子の一人に、ヨセフという人物がいます。ヨセフは夢の中で、栄光と権力を約束されました(創世記37:5-11)。しかしそれらを勝ち取るために、彼はエジプトで奴隷にならなければなりませんでした。しかも、それだけでは十分ではないかのごとく、ヨセフ自身の誠実さによって状況が改善した途端に、奴隷よりも忌むべき囚人にされてしまいました。

しかしこれらはすべて、計画通りでした。ヨセフの益、またヨセフの家族の益、そして結果的には、全世界の益のために、神が計画されたことでした。監獄の中で、ヨセフはファラオの側近の者と出会います。結果的に、ヨセフは彼を通してファラオの前に出ることになり、ファラオはヨセフにエジプト全体を治めさせました。そしてついに、ヨセフの夢が実現するのです。兄たちはヨセフの前にひれ伏し、ヨセフは彼らを飢えから救いました。誰も予想しなかった栄光への道ではありませんか!

しかしこれこそ、神のなさることです。それは神の御子においても同じでした。御子はご自分を空しくして、しもべ、すなわち奴隷になられました。そして奴隷よりも忌むべき囚人になり、処刑されたのです。しかし、ヨセフのように、イエスは誠実を保たれました。「それゆえ神は、この方を高く上げて、すべての名にまさる名を与えられました。それは、イエスの名によって、天にあるもの、地にあるもの、地の下にあるもののすべてが膝をかがめ(るためです)」(ピリピ2:9-10)。

そして、これは神が私たちになさることでもあります。ローマ人への手紙8章17節にある通り、私たちがイエスと苦難をともにするなら、私たちには栄光が約束されています。上るためには、下ることです。前進するには、後退するのです。成功への道は、神によって定められた敗北を避けられません。敗北はつねに失敗のように見え、そのように感じるものです。

しかし、このクリスマスの季節にヨセフとイエスが私たちに何か教えるとしたら、このことでしょう。サタンや罪深い人間たちは悪を謀りましたが、「神はそれを、良いことのための計らいとしてくださいました」(創世記50:20)。

み空をおおえる くろくもより
ゆたけきめぐみの 雨はそそぐ

のぞみをいだきて あしたを待て
くらきのとざすも しばしのまぞ

めぐみのみかみは やみをやぶり
みかおのひかりを 照らしたまわん

*讃美歌 89番「御神の御旨は」より

 聖書 新改訳2017©新日本聖書刊行会

THIS ARTICLE HAS BEEN TRANSLATED AND USED WITH PERMISSION FROM DESIRING GOD. THE ORIGINAL CAN BE READ HERE, God’s Most Successful Setback.
この記事は「DESIRING GOD」から許可を得て、英語の原文を翻訳したものです。原文はこちらからご覧いただけます:God’s Most Successful Setback